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田川基成

HOKKAIDO PROSPECTS

  • ©︎ Motonari Tagawa

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  • ©︎ Motonari Tagawa

2026年5月20日[水]-6月7日[日]
時間:13:00-19:00
休廊:月・火

 

十七歳の春に北海道へ渡った時、まだ一面の雪に覆われた都市を眺め、地上に降りそそぐ柔らかな光を感じ、はじめて訪れた異国のように鮮烈な印象を受けた。やがて札幌での生活をはじめると、その違和感ともいえる残像は少しづつ日常に溶け込んでいった。

 

大学卒業後は東京へ移り、写真を撮り始めた。北海道からはしばらく離れていたのだが、後に写真家となって北の地を再訪した私にとって、目の前の景色はひときわ鮮やかに立ち上がり、広がった。

 

先住民族アイヌが自然とともに暮らしていたその島では、明治政府による急速な植民と開発が推し進められた。近代的領域としての北海道は、その成立過程において同じく植民地であったアメリカの影響を強く受けている。

 

全道で当時の最新技術による測量調査が行われ、札幌をはじめとする都市計画や農地開拓にはアメリカのタウンシップ制を模し、基線を中心に碁盤の目の区画や道路網が形成された。産業やインフラ整備、資源開発でも西洋式の技術がいちはやく取り入れられてきた。

 

北海道においては雪景色や雄大な自然風景だけでなく、農場や道路、都市、家屋の造りに至るまで本州以南の日本とは異質で、時に北米の景色とも重なって映るのは、そうした理由によるものだ。しかし、入植者が原野を開拓し造った町や農地も、今は人口減少が進み、都心部でまだ開発が進む一方、過疎地では土地が自然に還る過程が静かに進んでいる。

 

約十年をかけて北海道を旅し、特に主題やコンセプトを定めずに撮影を続けてきた。写真を見返すと、人の営みと関わりのある被写体が目立ち、たとえ自然風景を撮っていても、何かしらの人工物が写り込んでいることが多い。私が写真で捉えているものは、自然と関わった人間が風景の中に残してきた爪痕、あるいは近代という時間の痕跡だったのかもしれない。

 

田川基成

 

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【関連イベント】

田川基成×姫野希美「HOKKAIDO PROSPECTS」トークイベント

日時: 2026年5月30日[土] 15:00-16:30
場所: PURPLE (30名、予約優先)
料金: 1,000円

 

Bar赤姫×田川基成

日時: 2026年5月30日[土] 17:00-20:00
場所: PURPLE (予約不要)

田川基成|Tagawa Motonari

写真家。1985年生まれ、長崎県出身。2010年、北海道大学農学部森林科学科卒業。離島出身のルーツと移り暮らしてきた土地の経験を通し、移民と文化、風景・土地と記憶などを題材に、地域の歴史と個人の記憶を行き来しながら制作する。第 20 回三木淳賞、2022 年日本写真協会新人賞、2026年 第42回写真の町東川賞 飛彈野数右衛門賞を受賞。

主な展覧会に「ジャシム一家」(ニコンサロン銀座 / 大阪、札幌市教育文化会館)、「見果てぬ海」(ニコンサロン東京、伊都郷土美術館、コクラヤギャラリーほか)、「土地の教会」(EUREKA)、「海の記憶」(LIBRIS KOBACO、Gallery Y)、主な写真集に『見果てぬ海』(2020 年、赤々舎)がある。福岡県糸島市在住。

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