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畠山直哉

津波の木

  • 畠山直哉《2019年8月2日 福島県南相馬市》2019|発色現像方式印画|1080×1266mm

会期: 2022年3月26日[土]–5月8日[日]
時間: 13:00–20:00 (月・火・木・金曜日)、11:00–19:00(土・日曜日)
休廊: 水曜日
協力: タカ・イシイギャラリー

このたび、PURPLE第一弾の展覧会として、畠山直哉展「津波の木」を開催致します。
「津波の木」は、畠山が2018年から撮りためてきた、津波の刻印の残る樹木や風景写真のシリーズ です。「DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに」展で初めて発表されました。今回は新作を含む構成となります。

東日本大震災以降、故郷の岩手県陸前高田市で撮影を続けてきた畠山が出会った一本のオニグル ミの木。そこから「津波の木」は始まりました。

 


幹を中心にして、海側の半分は梢の先まですっかり枯れているが、山側の半分は青々とし た葉を茂らせている。驚いてそばに寄り、幹を確かめると、海側の樹皮には大きな傷跡が あった。そう、大津波が川を遡上した時に運んできたさまざまな物体、中には物体以外の ものもあっただろうが、それが激しくぶつかってできた傷の跡だった。
(「ART SUPPORT TOHOKU-TOKYO 2011→2021」より)

 

 

半分は死に、半分は生きている「まっぷたつの木」。あの時から昨日までの時間を留めながら、同時 に、生きている「いま」の時間が見える。そこに、喪失を抱きながらも続いていく生の有りようを投影したと畠山は言います。
一方、白日夢のように浮かぶ枯木の島や、白く立ち枯れた杉の群れの風景は、人間とは異なる時空 を思わせ、時間軸や存在についての思考を呼び覚まします。そして、樹木の周りにある防潮堤や盛 り土、高速道路、清掃する人影─変化していく環境は、自然と人間の営みとの関わりを写し出すも のでもあるでしょう。
「津波の木」は、畠山のこれまでの作品を継ぐ深さを持ち、私たちがそれぞれに抱える時間や記憶 について考えさせてくれます。これらの写真を始まりとして、この場所で積み重なってゆく思考があ ることを願っています。

畠山直哉|Naoya HATAKEYAMA

1958年岩手県陸前高田市生まれ。 筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に師事。1984年に同大学院芸術研究科修士課程修了。

以降東京を拠点に活動を行い、自然・都市・写真のかかわり合いに主眼をおいた、一連の作品を制 作。国内外の数々の個展・グループ展に参加。 作品は以下などのパブリック・コレクションに多数収蔵されている。 国立国際美術館(大阪)、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、ヒューストン美術館、イェール 大学アートギャラリー(ニューヘブン)、スイス写真財団(ヴィンタートゥーア)、ヨーロッパ写真館(パ リ)、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(ロンドン)


 


View of the exhibition ©︎Yuki Moriya

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