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頭山ゆう紀

残された風景

©Touyama Yuhki

2025年3月7日[金]-4月6日[日]
時間:13:00-19:00[水・木・金・土・日]
休廊:月・火

この度、PURPLEでは、頭山ゆう紀「残された風景」の展示を開催いたします。
このシリーズは、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」で、石内都との二人展「透視する窓辺」で一部が発表され、2024年に写真集としても刊行されました。
 
「残された風景」は、亡き祖母の在宅介護の時間に撮影された写真群です。
コロナ禍での介護の日々、ある閉ざされた状況のなか、近所に買い物に出るわずかな時間に切実な息抜きとして撮られたそれらは、瞬間の光と色が射すカラーの風景写真です。
一方、モノクロ写真は、家から出られなくなった祖母の視線をイメージして撮影されました。幻覚が見えるという祖母の視線に寄り添うように、部屋の窓から庭を撮った写真です。
この二つの視点が混ざり合い、「残された風景」は構成されています。
 
祖母の姿は一枚も写っていません。介護する側と介護される側とが傍にありつつ、異なる時間を過ごしたことが、視点に克明に表れます。
残された写真は不在を告げるとともに、残された者にとって、祖母との対話を続けるよすがとなりました。
 
頭山ゆう紀の最初の写真集『境界線13』(2008年)には、友人を亡くしたことへの喪失感が流れていました。写真を撮ることで息をし、喪失と向き合い、不在のひとを理解していく過程。
いま「残された風景」も喪失を超え、人が人をケアすること、つづいていく対話へと開かれています。
 
 
会期中、作家によるトークイベントを開催いたします。また同時期に刊行された写真集『in fog』をご覧いただけます。静かに息づく風景との対話を、ここPURPLEで体験されることを願っております。
 
 
《トークイベント詳細》
https://purple-purple.com/event/2699/
 
 

頭山ゆう紀|Touyama Yuhki

1983年千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。


生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。


自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義-煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。


http://yuhkitouyama.com





 

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