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市川孝典

VINTAGE BROWN

  • 市川孝典《untitled(woodland)》2012|burnt paper 和紙に焦げ跡|935×1805mm©︎2023 Kosuke Ichikawa/Soni. &Co.All Rights Reserved.

会期: 2023年6月16日[金]-7月2日[日]
時間: 13:00-20:00[火・水・木・金] 11:00-19:00[土・日・祝]
休廊: 月曜日

美術家 市川孝典は、世界各地を遍歴する間に絵画と出会い、様々な表現方法を用いて独学で作品制作をはじめました。

その後、多様なアーティストたちとの交流を通して、音楽や映像などの活動で表現の幅を広げ、研鑽してきました。

自身が幼少時に見た風景や時計の盤面、我楽多、昆虫標本、SNSのロード中のディスプレイ、T Vのノイズなどの人々の脳裏に潜在する記憶に触れる風景を抽出し、作品をつくり続けています。

本展では市川の作品が広まるきっかけとなった、多様な線香を太さや温度で使い分け、紙に焦げ目をつけながら描く「線香画」のシリーズを展示します。

線香で焼いて、焦がして、焦げ色のグラデーションで描いていくという自身が生み出した制作手法は、「記憶」や「時間」という儚くおぼろげなテーマとも合致し、強靭さと繊細さを併せ持つ唯一無二の絵画世界を構築しています。

 

 

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古城に忍び込み泊まることを繰り返していた数ヶ月。

毎日のように見ていた懐中電灯で照らされたヨーロッパの森。

10代の不安や好奇心や葛藤を懐中電灯に照らされた森を通して描いている。

忍び込んだ手付かずの古城の中では、もう使われていないシャンデリアを、

無意識に寝そべりながら懐中電灯で照らしていた。

そして時計、祖父のコレクションの時計を何度もバラして、何度も組み直した。

動かない時計を作り出すのが好きだった。

人の抜け殻のようなvintageのジャケット。

私はそこに人の痕跡を辿って気配を感じて服を通して描かれない人を描いたんだ。

標本箱の蝶やドライフラワー。

死んで殺されて永遠の美しさを手に入れた昆虫や花。作品に焼き付けて生を感じたかったんだ。美しさに嫉妬して壊したかったんだ。

家出した子供の頃に住んでいたジャズクラブの屋根裏部屋。演奏が始まると、寝ている僕の横の壁に踊るように照らされていた管楽器の影。

 

展示されてるこれらのモチーフは全部バラバラで脈絡なんかない。

これらのモチーフのすべては、私が、そして鑑賞者の目の端でみていた何気ない日常に出会った私だけが忘れても良い事柄なんだ。

 

 

市川孝典

市川孝典|Kosuke Ichikawa


美術家


「時間」と「記憶」という儚く朧げなテーマをもとに、紙に焦げ目をつけながら作品を仕立てるスタイルの「線香画」を確立。


その絵画スタイルから「現代絵画をまったく異なる方向に大きく旋回させた」と評される。


近年はCHANELをはじめとするアパレルブランドや、ジャンルの垣根を超えたコラボレーションも多数手がけている。


 


 


 


View of the exhibition ©︎Daido Bro

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