作者は、活気に溢れありのままを写し出す白黒のストリート写真で最も知られているフォトグラファーの一人であるが、その多岐に渡る作品群には、50年代初期から60年代後半にかけて撮影された実に4万5千点にも及ぶカラースライドの膨大なコレクションも含まれる。作者は首に下げた二つのカメラの片方にはカラーフィルムを、もう片方にはモノクロフィルムを装填し、商業写真の仕事の合間を使って自身の身の回りを広く記録した。そのようにして、独特かつ革新的な挑戦を重ねるパーソナルワークを発展、洗練させていったのである。

マンハッタンのにぎやかな街並みやコニーアイランドのボードウォーク下の日陰から、西アメリカの広大な風景やどこまでも続く道路まで、本書で明かされる一国の側面を捉えた優しいポートレイトは、それが過去のものであることを感じさせながらも、不朽の存在にも思わせる。作者による見知らぬ人々のスナップ写真は、比類なき親密性に溢れ、戦後のアメリカにおける日常を垣間見せる詩的な視点となっている。色鮮やかなカラー写真に特化した初のモノグラフである本書は、アリゾナ州ツーソンにある「センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー（Center for Creative Photography）」のアーカイブから150点の写真を紹介している。(twelvebooks HPより引用)