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Kim Teadong

The 6th Amado Photography Award
Kim Teadong Solo Exhibition《PLANETS》

定価:3,500円+税

Book Design: Jeesun Bea
Size: 197×356mm
Pages: 91 pages
Published in Marchl 2021
Publisher: Amado Art Space/Lab

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1978年ソウル生まれのキム・テドン(Taedong Kim)による写真集
「Planetes」と「Rifling」の2シリーズを収載

軍事境界線を挟んで、北朝鮮にも同名の行政区域がある鉄原(チョルウォン郡)、非武装地帯(DMZ )にて撮影された「Planetes」は、その地の戦跡である水道局跡で作家が星の写真を撮影していた際、偶然気にとまった一枚の手ブレ写真から始まった。
通常、軌道に沿って移動している星を暗い夜闇の中で精緻に写すには、星の軌道と共に動く「赤道儀」という装置が必要とされる。1時間以上絞りを開けっ放しにした長時間露光で撮られた本作において、キム・テドンもまた「赤道儀」を用いて撮影をしているが、それにより静止して写ることになった星とは対照的に、地上DMZ にある静止していた戦争記念碑やモニュメントなどは、全てが揺さぶられて動き、ブレを生じながら写ることとなった。

“これらの写真は、昔写真を始めた頃にロバート・キャパの写真に見た緊張感や驚きを、私にふと思い起こしました。永劫な星の光に対し、星明かりの下で撮影した戦争遺跡や退役兵器、その周辺の地域などが、今この瞬間、揺らぎ、震えているように写ったのです。写真はすべての露出を1つのシーンに圧縮できる唯一のメディアだと思っていますが、星の写真が、実は長時間露光という複数の時間の重なりによって一つのイメージとしてここに現れているように、私は歴史、分断と痕跡、そして現在の時間を、同様に捉えてみたいと思ったのです。”

「Planetes」というシリーズ名は、人間が出した宇宙ゴミの掃除を仕事とする宇宙飛行士の主人公が、人々の生活や欲望の物語を巨大な宇宙の物語の中で紐解く、日本のとあるアニメ映画から取られたタイトルであり、古典ギリシャ語では「放浪者」「旅人」といった意味合いもある。つまり、星を表す”planet”の語源でもあるこのタイトルは、非武装地帯(DMZ )で星を撮影しながら、歴史的な時間と現実の時間の境界の揺らぎに直面していった作家の”彷徨”、そして、明確な答えを出せないまま、激しく揺れ動き続ける現代社会の”彷徨”とも重なっている。

本書後半には、もう一つのシリーズ「Rifling」(銃砲内部に施される弾丸を鋭く回転させるための螺旋状の溝=”施条”を意味する)が収録されている。
人の匂いのしないカビやセメント。閑散とした夜中の街に現れる軍服姿の女性、住宅街の中にある戦跡の弾痕、米軍基地横の小さな村の破れた煉瓦の壁─、そして、歴史の残滓とともに現在を生きる人々の普通の生活などが、日常の背後に潜む静謐な緊張感と共に写されている。
星の軌道と弾丸の軌道を飛躍して重ねたタイトルが付けられたこの「Rifling」(2015-)が、前述の「Planetes」(2017-)のシリーズへと展開していくこととなった。

これまでキム・テドンは、深夜や早朝、街が眠っている間に出会う見知らぬ人々を撮った「Day Break」や、長年住んでいるソウルの副都心郊外を撮った「Break Days」、ニューヨークの韓国人が多く住むフラッシング地区の風景を含む「Symmetrical」など、都市の境界線、中心部とその周辺、またはそれら黎明期にある都市の境界で感じる緊張感などをテーマに作品を発表してきたが、静寂の中でかつての弾痕が散らばる壁にシャッター音を響かせるように撮られた「Planetes」「Rifling」から成る本書において、それらは、よりはるかな時空間的スケールを持ちながら、満天の星の下、相反する美しさと緊張感を身近に表出している。

2012年に「The 4th ILWOO Photography Award Winner」受賞、2017年に石川竜一、奥山由之らと共に、ソウルでAKAAKAスライドショーイベントに参加、2019年には原美術館で開催されたグループ展「自然国家展」に参加するなど、注目を集めるキム・テドン。『Planetes』は、日本国内初入荷であり、作家サイン入の貴重な一冊である。

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